用語解説

コバルト合金めっきは、高温雰囲気でも硬度が低下しない(Hv=250程度)という機能性を有しています。その為、主に製鉄業界向けの連続鋳造用金型(モールド)に使用されています。モールドは、溶けた鉄(溶鋼:1,000℃以上)を冷やし固める箱のようなものです。モールドの母材は、冷却効率を上げるために熱伝導率が良い銅の合金が起用されています。しかし硬度が柔らかく、低く冷えて固まった鉄(鋳片)と擦れることで摩耗してしまい、鋳片の品質異常や歩留の低下を招きます。

世間的に耐摩耗性が良い表面処理として硬質クロムめっき(Hv=800程度)があげられます。ただし、モールドの使用雰囲気は1,000℃以上あり、溶鋼からの被熱によって硬質クロムめっきは組成変化を起こし著しく硬度を低下させてしまします。

野村鍍金が開発した「コバルト合金めっき」は、使用雰囲気が高温(1,000℃以上)であっても硬度が低下しないため、モールドを安定的に使用することが可能となります。また実際にモールドを使用されている環境(損傷の傾向)に合わせて、起用するコバルト合金めっきを選定することも可能です。

<コバルト合金めっき被膜ラインナップ>

◆TAP-2 :コバルト合金めっきのベースとなる表面処理

◆TAP-2S:耐食性に優れる(TAP-2比)

◆TAP-Xb:耐摩耗性に優れる(TAP-2比)

◆TAP-2e:耐ヒートクラック性(伸び性)に優れる(全コバルト合金めっき比)

過酷な使用条件である製鉄向けモールドで使用できている実績より、コバルト合金めっきは「高温雰囲気」で使用することに適した表面処理であるといえます。しかし「高温に耐えるだけ」という表面処理のニーズはおそらく少ないと思います。高温雰囲気でありなおかつ、「耐摩耗性」「耐食性」「母材との密着力」などその他の条件を満たせることがポイントとなります。高温雰囲気で使用される製品(部品)に表面処理をご検討される際には、野村鍍金までお問合せください。