めっき金属の内部応力は、めっき金属の割れ、はく離に関連することがあるので時として重要な問題である。特に厚くめっきすることを要求される電鋳(エレクトロフォーミング)では、母型からのはく離や母材の変形を伴なうために、最も関心が払われる。当社では、品質管理、めっき液の開発検討の一助としてブレンナー・センドローフ型のスパイラル応力計を常用している。(写真-36参照)

ブレンナーセンドローフ型応力計

【注記】:一般にめっきには電着応力がある。たとえば小西は、次のようなモデル(図-10)を利用して、電着応力の説明を試みている。すなわち片面を絶縁被膜したうすい金属板にめっきを行なうと、 図-10の左側の金属板のごとくめっきが収縮し、素地を引っ張るように変形させる応力を引張応力、これと反対にめっきが膨脹し、素地を圧縮するように変形させる応力(右側の金属板)を圧縮応力という。

めっきの電着応力のモデル

このように素材が変形することにより応力の緩和が起こる。変形し難い素材の場合には、引張あるいは圧縮応力が残留する。そして引張の残留応力は素地金属の疲労強度を弱める と言われている。

例として、社内仕様によってめっきした代表的なめっき皮膜の内部応力は、次のようなものである。

代表的なめっき被膜の内部応力