クロムめっきはある一定の厚さを超えると、めっき中に自然と微細な割れが発生することが知られている。このめっき割れは、クロムの高い内部応力に起因しており、めっき厚みが大きくなるといくつもの割れ目を持つめっき層が形成される。
クロムめっきの割れが皮膜物性に与える影響としては、耐食性の低下が挙げられる。腐食因子が毛細管現象により割れ目に浸透することで下地金属に腐食を引き起こす。クロムめっきの割れ目が無ければこのような現象は起こらないため、クロムめっきの割れやピンホールを無くしたクラックフリークロムが開発された。
クラックフリークロムは通常のクロムめっきに対して非常に耐食性が優れており、220時間の塩水噴霧試験を行った結果錆びの発生数に大きな差が見られた。
クラックフリークロムの欠点としては、通常のクロムめっきと比較して硬さがかなり低いという点がある。通常クロムの硬さがHV=750~900程度であるのに対し、クラックフリークロムの硬さはHV=425~700程度であるため、高い耐摩耗性が求められるシーンにおいては不適である。そのため、主に装飾品への耐腐食性の高いクロムめっきとして利用されることが多い。
参考文献  岸 松平、クロムめっき、日刊工業新聞社、1964