クロムめっきの硬さと摩耗特性

硬さは、クロムめっきの大きな特徴であり、ビッカース硬さの範囲として、400~1,000程度のものが得られる。硬さに大きな範囲がある理由は、めっきする条件によって、 それが変化するからでもあるが、 一般に、クロムめっきとして、利用している硬さは、Hv700~ 1,000の範囲である。(工業用クロムめっきとして、JISに規定した硬さは、Hv750以上である。)

但し、前述の硬さは、めっきしたままの状態での硬さであって、水素による脆性除去、あるいは、その他の理由によって加熱されると、硬さが低下し、700℃以上に加熱されると、冶金的に得たクロムと等しい硬さとなる。図-1は、代表的なクロムめっきの加熱による、硬さ変化を示したものである。クロムめっきの高い硬さは、反面高い摩耗抵抗を期待してのものであるが、図-1には、 加熱によるクロムめっきの硬さの変化と併記して、テーバー(Taber)法による、クロムめっきの摩耗特性を示した。

代表的なクロムめっきの硬さの変化と耐摩耗性の変化(図-1)

なお、クロムめっきの硬さにしても摩耗特性にしても、めっきする条件が変化すればこれらも変化する性質のもので厳密に言えば、クロムめっきの硬さと、耐摩耗性との間には、必ずしも相関性はない。