日常遭遇する環境で発生するクロムめっきの腐食の多くは、クロムめっき自体が侵蝕されるものは比較的少なく、その多くは、割れ目から侵入した酸素、水分などに起因する下地金属の腐食である。したがって、クロムめっきの耐食性を改良するには、クロムめっきの割れ、特に下地にまで貫通する割れを低減させるか、あるいは、割れがなく、伸びの優れた耐食的金属層をクロムめっきと下地金属との中間に設ける方法が考えられる。

前者の例は、クロムめっきを2回に別けてめっきする2層クロムめっきであり、また後者の例は、耐食性にすぐれたニッケルめっきを中間層としたクロムめっきであるが、使用条件によっては、利用するニッケルに制約があり、ニッケルめっきであれば、どのようなものでも良いわけではない。

たとえば、当社では、使用環境、条件等を踏まえて、高耐食性を付与できるニッケルめっきとクロムめっきとの組合せを、検討したことがあり、その試験の一端として、当社で適切と考えられるニッケルを中間層とした試料、装飾的用途に用いられる半光沢/光沢ニッケルを中間層とした試料と、それに、比較用としてクロムめっきだけの試料とを、 図-2に示したような要領で繰り返し応力を与えたのち、塩水噴霧試験に供した例があるが、3種類の試料のうち、後2者はいずれも発錆した。

 

繰り返し応力負荷試験要領図

これら3種類の試料から適宜、検鏡用試料を採取し、顕微鏡的に観察したものが写真-7,8,9,10である。 つまり、適切と考えられるニッケルは、皮膜が柔軟でその上、耐食性が良好であるために繰返し、荷重を負荷された場合でも、基体を良く保護しており、クロムの割れから侵入する水分等の腐食要因にも良く耐える。一方、装飾的用途に多用される半光沢ニッケル/光沢ニッケル/クロムの組合せのものは、静的な状況に置かれた場合には、たしかに良好な耐食性を示しているが、この試験のごとく繰返し、応力を受ける時には、皮膜の柔軟性が無いために、クロムと共に割れを呈し、高耐食性である筈の多層構成の効果が消失する。

繰返し応力負荷試験十塩水噴霧試験の例

比較用のクロムめっき断面例

耐食性に異常を認めなかったニッケル_クロムの断面例

耐食性に異常を認めなかったニッケル_クロムの断面例

基体_半光沢ニッケル_光沢ニッケル_クロムの組み合わせ例