被めっき体(ワーク)の表面アラサをめっきによって改善し、光沢ある表面を提供することも、時として望まれる場合がある。かかる理由によって、光沢硫酸銅浴、光沢ピロリン酸銅浴、それにシアン化銅浴の平滑化作用(レバリング性)を調査した。図-7は、基体(下地)のアラサと、その上に施す銅めっきについて、銅めっき浴の種類を変えてめっきした場合の厚みと平滑化の程度を、表面アラサを計測することにより評価したもので、同じ光沢浴と言えども、光沢とレベリングの程度に大きな基異があることを示している。

下地アラサによる3種類の光沢電気銅めっきのレベリング性の比較

レベリング性と称する電気めっき用語は、本来、めっきの光沢の程度に無関係に基体(ワーク)表面を平滑化する能力を指し、光沢化とは、区別されるべきものではあるが、実際的には、これらを同義的に説明する傾向がある。そして、ワークの表面を平滑にするレベラー(平滑化剤)のレベリング機構は、拡散説により説明されることが多い。つまり、 レベラーを合んだめっき液に、ワークを浸漬し、電圧を付与すると、レベラーおよび金属イオンは、ワークに向って移動を開始するが、ワーク表面には、濃度差による拡散層が形成される。この場合ヮーク表面に凹凸があると、拡散層の厚さは凸部において薄く、また凹部において厚いためにレベラーの吸着(補給)は、凸部において速く、凹部では、逆に遅くなる。

したがって、電流は、凸部において抑制されたり、 レベラーの還元に費されるために結果としてめっきの金属の生長も抑制されるのであるが凹部ではその逆のことが起こるために、全体として見れば、めっき面が平滑となるのである。図-8は、 上述の機構を表現したモデル図である。

レベリング機構のモデル

光沢めっきのレベリング機構について、上述の拡散説だけでなく、他に記憶説なども発表されている。