Before (改善前)
機能性フィルムの薄膜コーティングロールやリチウムイオンバッテリーを生産する為のプレスロールは、1/1,000mmレベルの機械的精度(円筒度・真円度・振れ)が要求されます。
加工の基準面となるロールの軸受部には、溶接性の良いS25Cなどの比較的硬度の低い軸材が使われることが一般的です。硬度が低い素地を基準面として加工した場合には、摺動性の悪さや硬度不足による摩耗が原因となって、プレスロールを高精度に加工することが難しく、精度を確保するために非常に多くの工数がかかっていました。
V
After (改善後)
ロールの軸受部にクロムめっきを50μm程度施工する設計に変更することで、軸受部の表面硬度が上がり、尚且つ摺動性も良くなります。その結果、ロールの仕上げ研磨加工の際に、軸受部の摩耗や発熱が抑えられ、従来よりも真円度・振れの少ない高精度ロールを効率よく製作することができるので、加工工数を削減することができます。
さらに、軸受部の寸法公差を5μm以下の範囲をねらって加工する事も可能になり、ベアリングとの嵌め合い精度が向上し、ロールを使用される上でも軸受部の摩耗が軽減され、ロール自体の寿命を長くすることができます。
POINT(要約)
形状が変更できない機構部品を、材質や寸法をそのままに寿命をのばす方法として、表面処理加工の付加が最も有効な方法の1つです。
ロールの軸となるシャフトの場合には、表面処理加工を施し、耐摩耗性や耐熱性や硬度を向上させることで、ロールの長寿命化を実現することができます。