Before (改善前)
鉄板を押しつぶす圧延ロールや硬いものをシート状に成型するプレスロールなどは、強度を向上させるためにロールの外筒に高周波焼入れを施工することがあります。
高周波焼入れを施工することでロールが硬質化され丈夫になる反面、硬いがために金属本来の延性は低下するため熱などの外的要因がかかると割れなどの問題を引き起こすことがあります。
実際に過去発生したトラブルとして、ロール製作中にロール外筒部に割れが発生したことがありました。割れが発生した原因はロール外筒とジャーナル(軸)を取り付ける方法が「溶接」であったため、瞬間的に高い熱負荷と応力歪が発生したためです。
またロールの設計段階において、トラブル発生のリスクについて十分に検討ができていなかったことも要因でありました。
V
After (改善後)
ロール製作において「高周波焼入」がスペックに含まれている場合、事前に高周波焼入の範囲を明確にしておく必要があります。
当初図面や仕様書に記載されている高周波焼入の範囲がロール外筒全面であった場合、ロール外筒の両端から一定範囲は高周波焼入の施工範囲外とさせていただいています。特にロール外筒とジャーナルを取り付ける方法が溶接である場合はなおさらです。
また高周波焼入れを実施しないロールであっても、ロールの材料が硬い(割れやすい)場合には割れずらい別の材料をご提案させていただくこともあります。
POINT(要約)
図面に記載されているスペックを鵜呑みにせず、ロール製作の一連の工程を事前に洗い出すことで問題発生のリスクをつぶすことができます。