Before (改善前)

大型ロールを含む多数のロールをマシンに組み込む場合に、軸部分にベアリング(ハウジング)をはめ込んで使用されます。長期使用やメンテナンス等によりベアリングを取り外す際に軸部を傷付ける可能性が有ります。
軸に傷が付くと、再度ベアリングを組み込む際にハメアイ誤差を生じてロール本体にフレや振動が発生し、生産性の低下や製品品質の低下を招く可能性が有ります。
軸部を修正する為には、肉盛り溶接等で修正する方法もありますが、溶接による熱でロール精度が悪化する可能性が有ります。軸が焼入れ材の場合はなおさら、溶接肉盛り等での修正も非常に困難となります。

V

After (改善後)

ロール製作段階で、ベアリングを組み込む部位にクロムめっきを施工することにより、軸部へのダメージを軽減出来る可能性が有ります。これはクロムめっきの高い耐摩耗性と高硬度(HV=800相当)が寄与するところです。

また、万が一クロムめっき部にキズを入れてしまった場合でも、既存のクロムめっきを除去し再度クロムめっきを施工することが出来ます。溶接肉盛りによる修正と比べクロムめっき施工温度は低温である為、ロール精度変化への影響も殆どありません。クロムめっき膜厚は30μ程度で十分効果を発揮出来ます。

長期的にみて、メンテナンス性の向上が見込めます。

POINT(要約)

クロムめっきは、ロールセル面への施工だけでなく、メンテナンス性の向上の為にも軸部への施工は有効な手段です。特に重量物や高回転での使用となりますと、軸部に焼入れ材をした場合破断等の重大な事故を引き起こす可能性が高くなる為不向きとなります。

欠点としては、ハロゲン雰囲気では不向きであることと、ロール製作段階ではコストアップとなりますが、是非一度ご検討ください。