Before (改善前)

工業用ロールにクロムめっきが施工される主な目的は、摺動部の耐摩耗性向上や鏡面性向上(Ry=0.1~0.4S)があげられます。そうすることで、ロール自体の寿命延長や、ロールを介して生産される製品(フィルムなど)の品質向上につながります。
その他の使用目的として、清掃性の向上があります。製品が通るワーク部分に汚れや付着物(ごみ)があると製品の品質に影響が出ます。製品が通る範囲にはクロムめっきが施工されますが、ロールの端面部分や軸部分にはあまり施工されていません。
その為、実際にロール全体を清掃することになった場合、ロール端面部や軸部分の清掃に時間がかかり、生産性の低下、人件費の増加につながります。

V

After (改善後)

クロムめっきをロールの端面や軸にも施工することにより、ワーク面同等の清掃性を持たせることが可能になります。そうすることで、メンテナンス時の清掃時間の短縮させることができ、生産性を向上させることにもつながります。

クロムめっきにはある程度の耐食性も有しているため、めっきしている部分の耐食性も向上し、ロール自体の寿命延長化にも効果があります。しかし留意点として、クロムめっきにはクラックというひび割れがが存在しています。このクラックを伝って腐食物が侵入していくと、ロール自体を腐食させてめっき剥離などの問題にもつながります。

その為、クロムめっきを施工していたとしても、メンテナンスはこまめに実施されることをお勧めいたします。

POINT(要約)

クロムめっきをワーク面以外にも施工することにより、メンテナンス性(清掃性)のアップが見込まれると共に、ロール全体の寿命が延びる効果が期待できます。

しかしクロムめっきも万能では有りません。クロムめっき自身のひび割れ(クラック)から腐食成分が侵入すると、めっき剥離などのトラブルにつながります。その為、定期的なメンテナンスで腐食成分を取り除き、ロールの長寿命化を図りましょう。