Before (改善前)

鋼材の連続鋳造用鋳型(モールド)において、鋳造時の気相との界面付近(メニスカス部)には、特に溶鋼が撹拌される場合に溶鋼中の不純物である低融点金属(主に亜鉛)が溜まりやすい傾向にあります。
亜鉛がメニスカス付近に滞留するとモールド表面に被覆された金属を侵食(合金化)し、形成されたもろい合金にクラックを生じたり、銅板までをも侵食し、モールドとしての寿命を著しく短くさせる恐れがあります。
従って、モールドの延命の為に溶融亜鉛に比較的耐性のあるコバルト合金メッキが一般的に採用されておりました。しかし、酸化被膜が破れた箇所からの浸食には、まだ不安が残っておりました。

V

After (改善後)

モールドの耐溶融亜鉛性をさらに改善するために、各種表面処理にて耐溶融亜鉛性を評価し、その結果、特殊なクロムメッキがコバルト合金メッキよりも効果があることが分かりました。

この特殊なクロムメッキは非常に低硬度で硬質クロムメッキ特有のクラックもほとんど見られないという特徴を持っています。この特殊なクロムメッキをコバルト合金メッキ上に薄く被覆することで、モールドの寿命を大幅に改善することができました(従来の2倍以上)。

POINT(要約)

連続鋳造用鋳型(モールド)の耐溶融亜鉛性を改善する為、メニスカス部周辺にはコバルト合金メッキ上に薄い特殊クロムめっきを施すことで、モールドの寿命を大幅(従来の2倍以上)に改善することができました。

野村鍍金ではこのような表面処理の組合せにより、製品の延命化を図る為のご提案をさせていただきます。