Before (改善前)

従来のロール製作において、ロール内筒へのフィン巻き取付作業は溶接用のターニングローラー上で炭酸ガス溶接機にて実施していた。
この場合、フィン巻き前加工(旋盤上)→溶接(ターニングローラー)→フィン巻後加工(旋盤上)の工程において製品の乗せ下し、すなわち段取り替えが2回発生していました。
またフィン巻き溶接時に使用する炭酸ガス溶接では、溶接時に発生するスパッタがロール内筒表面に付着し、溶接後に別途スパッタ除去作業が発生していた。
炭酸ガス溶接機は手作業によるものであるため、電極と製品間に発生する電圧の変動が大きく、それに伴い溶接材料の溶解量の増減が発生しその結果スパッタも多数発生する。このような理由により、①溶接工数の増大ならびに②工程の整流化が課題となっていた。

V

After (改善後)

前述課題への対策として下記方法を採用した。

①溶接時のスパッタの発生量を低減させる事による溶接工数の低減策としてデジタル制御式炭酸溶接機を導入した。デジタル制御式溶接機は、電極と製品とに発生する電圧制御を自動化する事により、常時一定の電圧下において溶接する事が可能となります。そのため、溶接材料の溶解量が一定となりスパッタの発生量を低減させる事ができた。その結果、溶接後に発生していたスパッタ除去の手入工数が約25%低減する結果となった。

②溶接加工を旋盤機上で実施できるように溶接設備を整備した。それによりフィン巻き溶接前加工後に機械より製品を下すことなく連続的に溶接作業へ移行することができるようになった。また溶接後の加工も製品を下す事なく実施する事が可能となり、段取替え工数を低減させる事が可能となった。

①②の対策により、内筒用フィン巻き工程の整流化を図ることができた。これにより、納期の短縮やコストの低減化につなげることが可能となった。

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POINT(要約)

従来のロール製作において、ロール内筒へのフィン巻き、加工工数が問題となっていた。その問題に対する対策として、デジタル式電圧制御性の高い溶接機の導入と【溶接→加工の工程】を一連化するための設備整備により溶接工数を低減させることが可能となった。これによりフィン巻き工程を有する2重管、3重管構造のロールの製作リードタイムを短縮することで、客先の短納期ニーズのご要望に対して応えることができる生産体制の一助となった。