Before (改善前)

フィルムを製造するキャストドラムにはクロムめっきを施工した後に表面粗さRy0.1μmの鏡面に仕上げるドラムがあります。ちなみにクロムめっきの厚みは一般的に100~150μm程度の仕様となっております。
非常に透明性、平坦性の高いフィルムを製造されており、わずかな表面の粗さやキズも許されません。そういったドラムでは、フィルム製造時の熱履歴によりドラム表面のクロムめっきに従来持っているマイクロクラックとは異なる微細な割れが発生すると、これがフィルムに転写し、不具合となることがあります。

V

After (改善後)

お客様の使用中にフィルムに転写してしまうこの微細な割れの発生を防止するために、

①全体のクロムめっきの厚みを薄くすることと、

②場所による厚みのばらつきを抑制することとしました。

具体的には、表面の粗さやキズに厳しいドラムについてはクロムめっきの厚みを100μm以下に設定し、さらに、ドラムの各箇所によるめっき厚みのバラツキを抑制するためにめっき厚みの測定点数や回数を増加し、全面均一なめっき厚みに加工しております。これにより、使用中に表面に割れが発生することが防止でき、高品質なフィルムを長期間、安定して生産することが出来るようになりました。

POINT(要約)

フィルム製造中にキャストドラムの表面に熱履歴による微細な割れが発生することがあります。その割れがフィルムに転写してしまい、フィルムの品質低下やドラムの早期交換などの問題が起こります。

対策としてキャストドラムのクロムめっき厚みを全体的に薄くし、また、ドラム全体が均一な厚みになるように管理、施工を行うこととしました。

その結果、ドラム表面の割れ発生を防止出来、品質のよいフィルムを長期間、安定的に生産できるようになりました