Before (改善前)

 製鉄業界に於いて使用されるロールの中には、マット仕様(梨地仕様)が施されたロールを使用されることがあります。その際に板巻材を使用した場合、めっき処理後に溶接線がセル上に浮き出てしまい、搬送されるワークの品質低下が起こり得ます。
この問題を防止するために一般的にロールの溶接線を隠すために下地にニッケルめっきを施工します。しかし、製鉄業界向けのロールには一般的に焼き入れが施された材料が使用されるため、下地に柔らかいニッケルめっきを施すことができません。
また、現れた溶接線の除去はめっき処理では困難であると同時に、多くのコストがかかります。

V

After (改善後)

マット仕様(梨地仕様)のロールを製作する際には、板巻材ではなくシームレスパイプを使用することによって、めっきを行った後にもロールのセル表面に溶接線の浮き上がりを防止することが可能となります。

その結果、溶接線の発生時に除去に必要となるコストを削減できるうえ、溶接線の浮き上がりによるワークの搬送品質の低下を防止することができるようになります。

POINT(要約)

板巻材に対してめっき加工を施した際に、下地にニッケルめっきを施さなければ溶接線が浮き上がってしまうことを知らない場合、ロールの最終品質でのトラブルに繋がります。

そのため、設計時に予め何の材質を使用するかだけではなく、板巻材かシームレスパイプかなどの形状も指定しておくことでトラブルを発生の手前で防ぐことができます。