Before (改善前)

ロール製造の加工工程は、主に機械加工と組立、表面処理となります。この加工工数を最小限にするための設計では、ロール自体の搬送時のことを考慮することが忘れがちになります。
例えば、製作したロールの表面に潤滑性や耐摩耗性などの機能を付加するためにめっき処理を行う場合、めっき処理用の追加加工が必要になるケースが存在します。
機械加工の加工工数は増えることになりますが、それでもロール製作全体を考えると、設計図面に搬送用の治具の取り付ける構造にしておかなければ、製品の工程間で無駄な時間がかかり、製品のコストアップの要因となってしまいます。

V

After (改善後)

大型のロールに表面処理加工を行う場合には、表面処理工程のスムーズな作業を実現できる構造にしておくことが製品自体の工ストダウンにつながります。

そのコストダウンの構造として、ロール内部に上記のような、パイプ形状のロールへインロー加工を行う形状にしておくことで、ロールを固定する治具を取り付けることが可能となります。

治具によるロールの搬送を設計段階から考慮しておくことで、ロール製作のサイクルタイムの改善につながり、製品自体のコストダウンを実現できます。

POINT(要約)

大型のロール製造などの搬送に多くの工数がかかる構造体の場合、搬送時に固定の役目を果たす治具をどう考慮するかは、設計者の必要な知識になります。

ロール内部にパイプ形状のロールへインローの加工は、その搬送方法の一つです。製鉄業界や製紙業界など、径:φ3000を超えるような大型ロールを設計する際には、適切な治具を考慮した設計がポイントとなります。