Before (改善前)

シート製品を製造する場合、多くの場合ロールが使用されます。製造するウェブの種類や、使用環境(高温・低温であったり、酸・アルカリ雰囲気であったり、ドライ・ウェットであったりなど)によってロールには様々な負荷が発生します。ウェブが触れる部分ではキズ(打痕及び摩耗痕など)や腐食(錆の発生など)、精度不良(円筒度、真円度、フレやバランスなど)が発生することがあり、状態に応じて適切なロールメンテナンス(再めっき及び再研磨など)を実施することで、製品の品質向上や歩留まりの向上を実現することができます。製品が触れる部分についてメンテナンスすることは多いですが、実際長期でロールをご使用いただいている場合、製品が直接触れない部分(軸、側面部、ロールの内面(通水ロールの場合)についても経年劣化が発生している場合があります。特に軸部分については、マシンに組み込む基準(ベアリングやカラーを取り付けるところ)が設けられていることが多く、損傷したままにしておくと結果的に製品の品質を損ねてしまうこともあります(最悪のケースですが、軸が破断・折損することでマシンをお釈迦にしてしまうようなこともあり得ます)。

V

After (改善後)

一概に軸のメンテナンスといっても様々な項目があります。寸法で重要な部位はベアリング装着部、オイルシール部、キー溝部が挙げられます。軸が摩耗することで外径が小さくなり取り付けるベアリングの精度が出ない場合には、軸を少し削り込み「Crめっき」、「溶射」、「溶接肉盛」、「カラーの焼き嵌め」などで必要な寸法に復元してあげることで精度を復元することができます。軸の材料によっては施工できない補修方法もあるため、各ロールごとの現状を十分につかんだうえで、最適なメンテナンス方法を選択します。また駆動ロールの場合、キー溝の変形がよくあります。溶接でキー部を埋めて再加工することもありますが、溶接による歪がその他悪影響を及ぼすこともあります。その為、軸の強度に問題がないことを確認したうえで、既存のキー溝位置に対して180度反対の位置に新たにキー溝を施工するなどの提案もしております。

POINT(要約)

当社ではロールの新作対応もしておりますが、サイズや構造及び表面仕様によっては高価なロールも多々あります。出来る限りコスト負担にならないよう対応しておりますが、やはりメンテナンス費用と比較するとロールを新作したほうが高価になってしまうケースは多いです(当然逆の場合もあります)。
軸はロール本体の精度を確保するための非常に重要な部分につき、大きく損傷する前に定期的にメンテナンスいただくことで、製品の品質向上とロール自体の寿命延長を図ることが可能となります。