Before (改善前)

産業用ロールの中には、ウェブ(搬送物)を冷やしたり温めたりする為に温調ロールが使用されます。
温調ロールの内部構造は、フィンをスパイラル状などに取り付けることで流路を作り、そこに水や蒸気、高温の油などを流すことで温度をコントロールしています。従来のロール設計では、流路を形成するフィンの構造について寸法設定が厳密化されていないケースが多々あります。その為、ロールを製作する段階で、ロール外筒内面とフィンが均一に接触しない場所が発生し、ロール表面温度を均一に保つことができなくなります。そうなると搬送物に均一に温度が伝わらない為、温度ムラによる品質の低下などが引き起こされることがありました。
またフィン先端は旋盤によって加工する方式が主流であり、フィン側の円筒度、真円度公差が旋盤加工精度に依存します。その為、図に示すようにロール外筒内面とフィンが接触する個所が多くなることもあり、最悪の場合には再加工が必要となり、加工工程にも悪影響を及ぼすケースがあります。

V

After (改善後)

フィン先端の加工寸法精度を厳密化(公差設定)することにより、フィン外径面の円筒度、真円度公差を向上化させることに成功しました。

また加工手法を「旋盤加工」から「グラインダー研磨」に変更することで、加工精度が向上し安定的に精度を確保することが可能になりました。それによって、これまで問題視されていたロール表面温度不均一による歩留まりや品質の低下を解消することができます。

加工寸法精度を守ってロールを製作することによって、加工工程中のロスも減り、納期管理も簡単になります。

POINT(要約)

フィン先端の寸法精度の厳密化と加工方法の見直しにより、ロール内面構造を安定的に確保することが可能となりました。これによりロール使用環境下において、ロール表面温度の均一化を図ることに成功しました。