Before (改善前)

多くの産業用ロールには、丈夫で耐摩耗性に優れている硬質クロムめっきが多く採用されています。ご使用いただく環境(条件)に応じて、クロムめっきの仕様(めっき厚や多層化など)を調整することでもお客様のご希望に添った提案を心がけています。しかしながら、「硬質クロムめっき自身の特性(物性)」は基本的に変わらないため、硬質クロムめっきでは機能的に不足している場合、その他の表面処理を提案させていただくこともあります。しかし機能性と価格(単体コストと費用対効果)および全く異なる表面処理を試みるリスクの観点からいうと、なかなか代案となる表面処理が少ないのも事実です(そういう意味では、硬質クロムめっきは産業用ロールにおいて有能な表面処理であるといえます)。

V

After (改善後)

そういった問題を解決するため、野村鍍金で研究・開発に至ったのが「R-62」という表面処理です。R-62は硬質クロムめっきを独自の方法で改良することで誕生した表面処理です。その為、R-62の一般的な特性(物性)は硬質クロムめっきに類似しています。
しかし実際に物性値を比較すると、耐摩耗性は硬質クロムめっきの約1.25倍(Hv=約1000)、それに起因して耐摩耗性も高く約1.2~2倍(硬質クロムめっきをR-62に変更し実際にオンラインで使用した実施値より)の性能を有しています。また硬質クロムめっきの特性である「鏡面性」については変化はなくRy=0.1Sの鏡面仕上げにも対応は可能です。新たな表面処理の導入を検討いただく場合であったも、あくまでベースは硬質クロムめっきであるためテスト導入する際のハードルは低いといえます(ただしリスクがゼロというわけではありませんので事前にすり合わせさせていただきます)。

POINT(要約)

R-62は硬質クロムめっきを改良して誕生した表面処理であり、鏡面性は通常の硬質クロムめっきと同等の機能をもち、さらに耐摩耗性・硬度・耐食性に関してはより優れた物性値を有しています。