Before (改善前)

 中空ロールの内部に部品を入れて使用するロールでは、部品を入れる時やメンテナンスで取り出す際に軸を脱着する場合があります。
軸の取付方法はいろいろありますが、ロール本体と軸ボルトのみで止める構造であれば、軸の脱着ごとに精度のズレが起こる危険性があります。この軸の脱着の際の精度のズレが度々発生してしまうと、場合によってはロールのバランスが本来のスペック精度に入らなくなる可能性があります。
新設のロールであれば問題は発生しないのですが、長く使用している中で改善が求められていました。

V

After (改善後)

軸の脱着式のロールでも長期間にわたって、また、軸の取外し回数を重ねてもバランスが崩れないロールの構造設計があります。上記の図のように、ロールセルにインロー加工を施し、軸をインロー寸法に合わせて高精度に加工しておくことで、軸を脱着しても大きく精度がずれることを防止します。

このロールセルへのインロー加工による固定は、ロール本体と軸をボルトで固定する方法と比較して、バランス精度を長期間保つことにつながります。ロールの製作段階の工数は増えますが、生産現場でのメンテナンス工数・精度出しの工数の削減も実現できます。

POINT(要約)

ロールの構造上軸を脱着しなければならない場合、脱着の度にロールの精度を合わせることは時間も労力もかかります。

ロールセルと軸の加工精度を高めることで軸取り付け前後の精度調整が簡単になります。ただ加工精度が高いため1度はめ込むと抜けにくくなることがありますので、軸を抜くために取り付けボルトと同じPCD上に2ヶ所「抜き穴(M8以上のタップ)」を設けておくことがロールの構造設計として有効です。