製品属性(仕様)

付加
特性
耐摩耗性,高精度,鏡面性 表面
処理
クロムめっき,R-62クロムめっき,鏡面仕上げ
業界電気・電池 サイズ
重量
中型 φ600 ~ φ1,000, 小型 L:100 ~ L:999
加工
サービス
高精度研磨 母材鉄材

製品画像(様子)

特徴

リチウムイオン電池用の電極を製造する工程で使用されているプレスロールには非常に高度な機械精度が要求されています。その理由は、プレスロールの役割に大きく関わっています。
まず、リチウムイオン電池用の電極を製造する工程は大きく分けて3つの工程に分けられます。一つ目はコーター(塗工)パートです。まず、ここで金属箔に一定の厚みで正極、負極それぞれの電極材を塗布します。
その次に、塗布した電極材を一定の厚みに薄くし、かつ、高密度にするためのプレスパートがあります。ここでプレスロールが使用されます。プレスロールは基本的に2本一組になっており、その間に電極材を通します。電極材を通す際に両方のプレスロールに圧力を掛けて、電極材を圧縮、圧延します。圧縮、圧延後の電極材の厚みはプレスロールの真円度、円筒度、振れなどの機械精度により決まります。もし、プレスロールの機械精度が悪いと、そのまま、電極材の厚みのバラつきになります。電極材にバラつきが発生すると、電池としての性能のバラつきや、電池の厚みがいびつになりケースに入らないなどの品質トラブルの元となります。リチウムイオン電池は電極材を何層も積み重ねて電池となっており、電極1枚がわずか数μmのバラつきでも、積層すると大きな厚みのバラつきになってしまいます。そのために、プレスロールには数μm以下という非常に高度な機械精度が要求されているのです。
最後に所定の厚みになった電極材を電池の大きさやユニットの大きさに切るスリッターパートがあります。
これで電極の完成です。

クラウンプレスロールとは、ロールがストレートではなく太鼓型(真中が太い形状)や逆太鼓型になっているロールのことです。上記でプレスロールは、その役割上、非常に高度な機械精度が要求されます。と、記載させて頂きました。なのに、なぜ、あえてストレートではなく、いびつな形にするのか、その理由をご説明させて頂きます。
実は、2本のプレスロールを限りなく高精度にストレートに加工して、そのロールで電極材を圧縮、圧延した時、一定の条件では非常に均一な膜厚の電極材が出来ます。しかしながら、いくつかの条件下ではストレートのロールを使っても均一な厚みの製品が出来ない状況が発生します。リチウムイオン電池製造用のプレスロールで多くあるのは、ロールを押す圧力が非常に大きくなった場合に、ロール中央部よりも両端側が強く当たる傾向があります。その結果、圧延、圧縮された電極材は中央が厚く、両端が薄い電極材が出来てしまいます。こういったケースの時にクラウンロールが活躍します。製品の中央、両端の厚み差を打ち消すように、ロール自身を中央は太く、両端を細くします。クラウンロールの形状はお客様の使用条件により様々で、製品の厚み差から逆算するなどして決定します。その形状に従って、ロールの加工を行うのですが、求められる製品の厚みのバラつきは数μm以下なので、ここでも欲しいクラウン形状から数μmの誤差もないロールが求められます。弊社では、一定の温度に管理された恒温室内で、高精度に加工出来るグラインダー研磨機を使用することにより、理想的なクラウン形状に対して±1μm以内の誤差での加工が可能です。
また、ロール中央部が細く、両端が太い逆クラウンロールも同様に±1μm以内の機械精度で加工出来ます。

弊社では研磨加工だけでなく、クロムめっきなどの表面処理から一貫して対応が可能であり、高精度化、品質安定化のお手伝いをさせて頂きます。