製品属性(仕様)

付加
特性
耐摩耗性、耐熱性 表面
処理
コバルト合金めっき
業界製鉄 サイズ
重量
L:100~3,999
加工
サービス
マシニングセンター、五面加工機 母材銅合金

製品画像(様子)

特徴

コバルト合金めっきは、様々な機能性を持っています。その機能性の1つとして、高温雰囲気(400℃以上)でも硬度がほとんど低下しないという特性があります。
電気めっきでは、一般的な「硬質クロムめっき(Hv=800程度)」などでは、400℃以上の高温雰囲気では硬度が大きく低下してしまいます。700℃付近では本来の硬度は半分以下となり、硬質クロムめっきとしての機能性(耐摩耗性)が失われてしまいます。コバルト合金めっきの1つである「TAP-2(野村鍍金開発被膜)」は、Hv=250程度と硬度自体は硬質クロムめっきよりも硬くはありませんが、700℃と高温雰囲気でもほとんど硬度が低下することはありません。
この特性が、製鉄向け連続鋳造用鋳型(モールド)の寿命延長に貢献しています。

モールドは、溶けた鉄(溶鋼)を冷やし固める役割を担っています。冷却効率をよくするために、モールドの材料には熱伝導率がいい銅の合金が起用されています。ただ銅合金の硬さはHv=100程度なので、冷やし固めている鉄とこすれることで簡単に摩耗してしまいます。銅板が傷つくことで、生産する鉄の品質低下を招いたり、使用回数(寿命)の低下、なにより銅板自体の寿命を低減させることにもつながります。モールドの交換頻度が増えることでランニングコストも増え、新たに銅板を購入する費用も増えるなど大きなロスが発生してしまいます。
銅板を保護(耐摩耗性を向上させる)する為に、1960年代には硬質クロムめっきが採用されていました。しかし高温雰囲気では硬度が低下、さらに硬くて脆い被膜であるため溶鋼からの被熱により割れ(ヒートクラック)が発生するなど、硬質クロムめっきはモールドの使用環境に対して完全にマッチすることはできてはいませんでした。そういった状況を受け、野村鍍金では熱に強くなおかつ耐摩耗性に優れた表面処理として1980年代にコバルト合金めっき「TAP-2」を開発しました。
TAP-2を起用することで従来(硬質クロムめっき)と比べ、使用寿命は4倍以上に伸ばすことが可能となりました。モールドの長寿命化および鋳片の品質向上の実績が認められ、今では国内外問わず多くの製鉄所様でTAP-2(ならびに更なる改良表面処理)をご利用いただいております。
TAP-2(コバルト合金めっき)はモールドで主にご利用いただいております。しかし現在では「耐熱性」と「耐摩耗性」の観点から、その他の製品(高温雰囲気でも耐摩耗性が必要な操業環境で使用される部品など)にもご使用いただく機会が増えてきております。