Answer (回答)

水素脆性は鉄鋼材料の中でも特に高炭素鋼や高強度鋼をめっきなどの水溶液で処理する場合に生じやすい現象です。 鉄鋼材料をめっき処理する場合、前処理として酸処理(エッチング処理)を行いますが、その際材料の溶解とともに水素が発生します。まためっき時には、品物が陰極となりますので、ほとんどのめっきの場合、品物上でめっきの析出と水素の発生が同時に起こります。酸処理時やめっき時に発生した原子状水素が素材に浸透して素材を脆くしてしまうことを水素脆性と呼びます。めっきの中では特にクロムめっきにおいてこの水素脆性の影響が大きくなります(電流効率が低く大量に水素が発生するため)。割れや破断が懸念される用途においては、この水素脆性の問題を回避するため、めっき後の熱処理による脱水素処理を行う場合があります。通常はお客様との協議の上、熱処理温度や時間を決定しますが、100~250℃で行う場合が多いです。