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電気伝導性を目的とした表面処理としては、主に金・銀・銅・ニッケル・錫(すず)等のめっきが活用されています。 電気伝導性能だけに注目した場合は、銀>銅>金>ニッケル>錫となり銀が一番優位となりますが、大気中の硫黄等で硫化することにより表面の電気伝導性が劣化する恐れがあります。

銀で出来たアクセサリーが黒く変色するのをご経験された方も多いと思いますが、これと同様の現象が銀めっき製品の表面にも発生します。 また、銀に次いで電気伝導性の高い銅も大気中において酸化しやすく、使用環境によっては銀同様に電気伝導性が劣化する恐れがあります。

こうした表面の劣化を防止するために、変色防止剤等でコーティングする方法を採用する場合がありますが、耐摩耗性で問題があるために特に電気部品の稼働接点部等での採用には慎重に検討する必要があります。 これら大気中の腐食に対しては、金が圧倒的に優位でありオーディオ用ケーブルの端子が金めっき処理されているのは、この耐食性に優れた点を重要視しているからです(銀めっき処理されたケーブル端子はほとんど存在しません)。しかしながら、最もコストがかさむことから自ずと工業製品への採用は限定的となります。 また、ニッケルや錫は表面の変化は銀や銅に比べて穏やかでありコスト面でも優位に立ちますが、その反面電気伝導性は劣ります。

このように、それぞれの表面処理においては長所、短所があり対象物(ワーク)の用途、必要な電気伝導性能、目標コスト等に応じて最適な処理方法が選定されます。 当社においては、電気伝導性を目的とした表面処理には銀または銅を推奨させて頂いておりますが、対象物のサイズや形状、使用環境を基に事前の入念なお打ち合わせの基で最適な処理方法をご提案させて頂きます。