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DLC(diamond like carbon)は炭素の同素体であるダイヤモンド結晶構造であるsp3混成軌道結合の形を持った炭素を多く含み、非晶質で準安定な硬質炭素膜のことで、幅広い分野の産業で活用されています。
特に軸受やエンジン摺動部品などのトライボロジー分野での応用が盛んです。DLC被膜の代表的な性質である表面平滑性と高硬度という特徴がトライボロジー応用に期待できることが窺えます。DLCの表面平滑性は、膜構造が非晶質であり、結晶粒界を持たないことが要因と考えられており、他の硬質被膜と比較してナノオーダーレベルの微視的な表面が平滑性が優れています。トライボロジーは2つの固体表面に成り立つもので相手材料を摩耗させてしまうような攻撃性の高い被膜はその分野では好ましくないといえます。相手材に対する攻撃性は硬さと表面粗度が大きいほど増加しますが、DLCコーティングは他の同程度の硬質膜コーティングと比較して平滑性の高い被膜を得られます。また、DLCは多数の鋼材やセラミックス材料に対して小さい摩擦係数を示し、アルミニウムやはんだ等の軟質材に対しても凝着しにくい特性もあることがトライボロジー分野への応用を図られる理由といえます。ここで、DLC被膜の成膜方法について、CVDかPVDか、炭素源は炭化水素ガスか固体炭素か等で大まかに分類分けされており、成膜方法により膜組織や被膜硬度、成膜温度、付きまわり等が異なります。表面平滑性においては、アークイオンプレーティング法などの固体炭素をアーク放電等で加熱蒸発しイオン化させるような手法では、ドロップレットと呼ばれるマクロ微粒子が放出され、形成する被膜に付着すると表面平滑性を損ない、摩擦係数も大きくなってしまうので所望の効果を得られない場合があるので注意が必要です。