宇宙ロケット分野への表面処理技術の提供

宇宙衛星分野の代表的なモノと言えばロケットを誰もが思い浮かべるのではないでしょうか?まさに誰もが憧れるこの宇宙分野への表面処理技術を提供を、「大型機械加工+表面処理.com」を運用する野村鍍金は1980年代から始めています。
1994年に1号機の打ち上げが行われたH-IIロケットは1986年から開発が始まり、野村鍍金は最初期の開発研究段階から三菱重工業株式会社様と共にこのプロジェクトを成功させるために表面処理技術の研究開発を行ってまいりました。H-IIロケットは、三菱重工業株式会社様と当時のNASDA:宇宙開発事業団(現 JAXA:宇宙航空研究開発機構)様の協業開発ロケットであり、製造を三菱重工株式会社様が担当された人工衛星を打ち上げるためのロケットです。この夢のプロジェクトに野村鍍金は主燃焼室の製造に関して技術協力をする機会に恵まれたのです。
H-IIロケットの主燃焼室は液体酸素と液体水素を燃焼させるため、燃焼室の内部温度は2,000℃~3,000℃になります。燃焼室内部は銅で構成されており、冷却をしなければ銅が溶けてしまいます。そのため銅を冷却するための冷却溝を確保した上で、均一なめっきをつけることが求められたのですが、このH-IIロケットのひょうたんのようなくびれを持つ円柱形状が表面処理を均一に行うことを非常に難しくしていました。野村鍍金は、この高い技術を必要とする問題を、独自の電気鋳造技術によって無事に解決したのです。ロケットエンジンの最重要構成部品である燃焼室の成否に関わる仕事であり、そこに求められる表面処理加工は想像を絶する耐振性や耐久性や耐熱性をクリアする必要があり、この困難への挑戦と、それを乗り越えて無事に納品できたことが、問題解決を提供する企業風土をより強化したことは間違いありません。

H-II/H-IIAロケットへの表面処理:電気鋳造技術の提供
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 ロケットエンジンの主燃焼室の製造では、燃焼室内部の壁面にあけた溝に蝋を塗り込むことでその穴を一旦ふさぎ、その上からめっき加工を行います。そして、めっき加工を行った後、全体に熱を加えることで溝を塞いでいる蝋を溶かすことで、燃焼室内部に液体酸素と液体水素が通る冷却溝を確保する方法で、この難しい表面処理を実現いたしました。この時開発された銅電鋳技術はH-IIはもちろん、現在運用中のH-IIAロケットにも使用されています。

国家プロジェクトへの表面処理技術の提供

 皆さんは「トリスタン計画」をご存知でしょうか?「トリスタン計画」とは、文部省高エネルギー物理学研究所(現 KEK:高エネルギー加速器研究機構)で実施された、非常に高い(当時世界最高)エネルギー下で電子反応を研究する、当時では日本発の素粒子物理学実験です。研究の概要は、全周の長さが約3kmにおよぶ電子陽電子衝突型加速器と呼ばれる装置内部で、高いエネルギーを持った電子ビームと陽電子ビームを衝突させ、そこで発生するまだ見ぬ粒子や現象を確認するというものでした。
野村鍍金では、この電子陽電子衝突型加速器内部のニオブ(niobium)に電解研磨を施す仕事を行いました。ニオブは超伝導電磁石としてリニアモーターカーなどにも利用されている素材です。この加速器内面に採用されている新素材に対して、これまでの培った電解研磨技術によって清浄化を実施したのです。野村鍍金の電解技術は超伝導加速空洞を実現し、我が国の最先端研究を支えることに少なからず貢献しているのです。

多種にわたる業界への大型機械加工と表面処理の実績

「大型機械加工+表面処理.com」では、様々な業界・用途向けに産業用ロールや金属プレートなどを納入してきました。納入業界は、耐熱性や耐摩耗性や高硬度を必要とする製鉄業界や輸送業界、鏡面性や高精度を必要とする医療業界やフィルム業界などが挙げられ、また、グリップ性や潤滑性を必要とする搬送ロール向けや、耐熱性や耐食性や耐摩耗性を必要とする金型やブレードなどもあります。
従来からある業界の生産性を向上させる機能性の付加から始まり、ハイブリッド自動車の車載用大容量のリチウム電池や日本の経済活動に必要不可欠な公共輸送機関である新幹線の車両部品、クリーン度が要求される医療機器業界の錠剤用の設備部品、我々に身近な段ボールの生産用のロールや、包装用フィルムを製膜するためのロールなど、まさに多岐にわたります。
このような多くの業界のお客様とお取引する中で、その業界特有の特徴や求められる機械加工と表面処理の技術を磨いてきました。その中で各種業界のロールや金属プレートに多くの独自の表面処理技術を提供できるまでになっております。

「大型機械加工+表面処理.comの納入実績のある業界

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